華道界に新しい風を吹き込む池坊専宗氏の活躍が、各方面から熱い視線を集めています。
1992年京都生まれの池坊専宗氏は、560年以上の歴史を誇る華道家元池坊という名門の血を引く人物です。
祖父が45世家元・池坊専永氏、母が次期46世家元・池坊専好氏という華道の中枢を担う家系でありながら、若き日には数学者を夢見て慶應義塾大学理工学部へ進学しました。
ところが入学後に文系への転換を決意し、東京大学法学部へと編入を果たします。
卒業時には法学部成績優秀者に贈られる「卓越」賞を受賞するという華々しい実績も残しました。
現在は華道家として日本橋三越や京都高島屋などで作品を発表するかたわら、写真家として京都の伝統工芸を撮影した写真集『よい使い手 よい作り手』を2024年に世に送り出しています。
さらに2025年開催のEXPO大阪・関西万博では、メディアアーティスト落合陽一氏がプロデュースするシグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」の茶室空間にて184日間の生け花展示を担当し、伝統文化と最先端アートの融合という新たな挑戦に臨んでいます。
池坊専宗のwikiプロフィール|京都生まれの華道家

池坊専宗氏は1992年1月20日、古都・京都に誕生しました。
華道家元池坊の45世家元である祖父・池坊専永氏と、2015年に四代目「池坊専好」を襲名した母・池坊専好氏という華道界の重鎮を家族に持つ環境で育ちます。
とはいえ、家業を強制されることはなく「やりたいことをやりなさい」という両親の教育方針のもと、のびのびと成長しました。
現在は池坊青年部代表として若手華道家たちを牽引する立場にあり、東京国立博物館アンバサダーや花の甲子園審査員など多彩な役職も務めています。
華道家としての活動と並行して、写真家としても独自の世界観を展開中です。
2024年5月には日本橋三越本店で「一粒の砂 記憶 ひかり」と題した写真展を開催し、日常の一瞬を切り取った作品群で来場者を魅了しました。
ふと見上げると、池坊専宗氏の挑戦はさらに大きな舞台へと広がっています。
2025年4月13日から10月13日まで開催されていたEXPO大阪・関西万博では、落合陽一氏プロデュースのパビリオン「null²」内の茶室にて、184日間という長期にわたり時の流れとともに移ろう花々を生け続けるプロジェクトに取り組んでいるのです。
「光を感じ、草木の命をまなざすこと」――池坊専宗氏が掲げる信条は、伝統と現代をつなぐ橋渡し役としての姿勢を鮮やかに映し出しています。
池坊専宗の驚きの学歴|慶應理工から東大法学部への異例の転身

京都教育大学附属高等学校で学んだ池坊専宗氏は、高校時代に数学の魅力に惹かれていきました。
当時は数学者ブームの影響もあり、将来は研究者として数学の世界を究めたいという夢を抱いていたのです。
そうした思いから慶應義塾大学理工学部へ進学します。
ところが大学で本格的に数学と向き合い始めると、予想していたイメージとのずれに気づき始めました。
「数学は地味で堅実な学問だ」――入学直後にそう実感した池坊専宗氏は、自分が本当に学びたいものは何かを真剣に考え始めます。
実のところ、理系から文系への転換という「文転」は並大抵のことではありません。
それでも池坊専宗氏は東京大学法学部への編入試験に挑戦することを決意しました。
慶應義塾大学で数学の単位を粘り強く取得しながら受験勉強を続け、見事東京大学法学部への合格を勝ち取ります。
編入後は法学の勉強に没頭し、卒業時には成績優秀者として「卓越」賞を受賞するという快挙を達成しました。
慶應理工から東大法学部という通常では考えられない進路は、池坊専宗氏の柔軟な発想力と確かな学力を物語るエピソードでしょう。
卒業後は弁護士への道も選択肢にありましたが、最終的には華道という家業へと歩みを進める決断を下しました。
池坊専宗の経歴と活動|華道家・写真家としての多彩な才能

東京大学卒業を機に、池坊専宗氏は華道の世界へと本格的に踏み出します。
東京の日本橋三越本店や京都の高島屋といった格式高い会場で次々と作品を発表し、若手華道家としての確固たる地位を築いていきました。
さて、池坊専宗氏の創作活動は華道だけにとどまりません。
自ら生けた花を撮影するところから始まった写真への関心は、やがて独立した表現手段へと発展していったのです。
JR京都伊勢丹では「MOVING」と名付けた祈りをテーマにした展示を開催し、空間全体を使った大胆な表現で来場者の心を揺さぶりました。
2024年5月には日本橋三越本店で「一粒の砂 記憶 ひかり」と題した初の本格的写真展を開催されています。
独学で学んだ写真技術で捉えた日常の一瞬は、京都現代写真作家展で新鋭賞を受賞するほど高い評価を得ました。
さらに2024年には1年をかけて京都市内66カ所の伝統工芸工房を訪ね歩き、職人たちの匠の技を撮影した写真集『よい使い手 よい作り手』を刊行します。
雑誌「25ans」や「目の眼」での連載執筆、ラジオ日本「池坊専宗の団子より花」のパーソナリティ、NHK「あさイチ」への出演など、メディアを通じた発信にも意欲的です。
講座「いけばなの補助線」では若い世代に華道の魅力を直接伝える活動も展開しており、伝統文化の裾野を広げることにも尽力しています。
池坊専宗の今後の展望|伝統と革新を融合する若き華道家の未来

池坊専宗氏には将来、華道家元池坊の47世家元を継承する役割が待っています。
母である池坊専好氏が祖父・池坊専永氏(45世家元)の後を継いで次期46世家元となる予定で、池坊専宗氏はその次世代を担う立場にあるわけです。
池坊専好氏は2015年11月11日に四代目「池坊専好」を正式に襲名し、池坊史上初の女性家元となりました。
ふと池坊専宗氏の父・池坊雅史氏(旧姓:千野雅史)にも目を向けてみましょう。
1961年埼玉県生まれの池坊雅史氏は東京大学法学部を卒業後、大蔵省へ入省したエリート官僚でした。
大蔵省大臣官房調査企画課係長や広島国税局三原税務署長などを歴任し、1992年にはシンガポール日本大使館二等書記官、1994年には一等書記官として外交の最前線でも活躍します。
1995年に大蔵省を退官した後は池坊短期大学学長や華道家元池坊事務総長として池坊家を支える存在となりました。
とはいえ、池坊専宗氏の視線は単なる伝統継承だけに向けられているわけではありません。
2024年12月には「京都学 in東京 2024」で母・池坊専好氏とともに登壇し、放送作家の小山薫堂氏をファシリテーターに迎えて日本文化の本質を語り合いました。
華道という伝統を深く理解しながらも写真や現代アートといった新しい表現手法を積極的に取り入れる姿勢こそ、次世代の家元にふさわしい資質として各方面から注目を集めています。
まとめ
池坊専宗氏は、560年以上続く華道家元池坊の伝統を継承しながらも、常に革新を追求する華道家です。
慶應義塾大学理工学部から東京大学法学部へという前例のない文転を経て「卓越」賞を受賞した知性と、京都現代写真作家展新鋭賞を獲得した芸術的センスを兼ね備えています。
祖父・池坊専永氏(45世家元)、母・池坊専好氏(次期46世家元)、父・池坊雅史氏(元大蔵官僚・現事務総長)という恵まれた環境に育ちながらも、決して家業を押しつけられることなく自分の道を切り拓いてきました。
2024年には京都の伝統工芸職人66カ所を訪ね歩いた写真集『よい使い手 よい作り手』を世に送り出し、開催されていた2025年EXPO大阪・関西万博では落合陽一氏プロデュースのパビリオン「null²」茶室にて184日間の生け花展示という壮大なプロジェクトに挑戦しています。
池坊青年部代表、東京国立博物館アンバサダー、花の甲子園審査員、KYOTO CRAFTS and DESIGN COMPETITION審査員など多彩な役職を通じて、若い世代への華道普及にも献身的に取り組む姿勢が光ります。
「光を感じ、草木の命をまなざすこと」という信条を胸に、伝統文化を現代に生かしながら新しい表現方法を探求し続ける池坊専宗氏は、将来の47世家元として華道界に新たな息吹をもたらす存在でしょう。
日常の美しさを丁寧に伝え続ける池坊専宗氏の今後の歩みに、大きな期待が寄せられています。



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